リワールド・フロンティア-最弱にして最強の支援術式使い〈エンハンサー〉-
[主人公あとから最強][地雷職][ぼっちハンサー][青春][ファンタジーSF]
作者:国広 仙戯
支援術式(アプリ)が得意な剣士、ラグディスハルトは友達のいないソロの探検者(エクスプローラー)。
どこのパーティーからもミソッカスにされ、今日も一人ぼっちで遺跡・月まで伸びる塔『ルナティック・バベル』へ行こうとしたところ、とある不思議な少女と出会う。
そこから全てが動き始め――これは、10個以上の術式を同時に操る超絶エンハンサーと、凄まじい術力を持つ〝現人神〟の少女の物語。
主人公 ★★★☆☆
サブキャラ ★★★☆☆
世界設定 ★★★★☆
物 語 ★★★★☆
文章構成 ★★★★☆
使い勝手の悪い支援術式を得意とする
話は王道ですが、遠い未来のSF設定で表現が独特です。遺伝子レベルで一体化した生体コンピューター《SEAL》、エクスプローラーという呼び名の探検者、コンビを組むのにスイッチ、パーティを組むのにルーターという風に、パソコンを使ってると聞き覚えのある単語がファンタジーな世界に並びます。
ちなみに読んでいて私が一番戸惑ったのは血の色でしたw
●5 蒼き紅炎の騎士団と剣嬢ヴィリー
「あっれぇ? 君、ぼっちハンサー君じゃね?」
「えっ?」
いきなり横合いから話しかけられてビックリした。
『NPK』の一人、明るい茶髪の男性が、こちらに一歩進み出てきていた。
その軽薄そうな顔に見覚えはない。初対面のはず、なのだけれど。
「――ぼっち、ハンサー……?」
何というか、ものすごく胸を抉られる響きだった。ヴィリーさんに見つめられた時とは違う意味で、動悸が激しくなる。
「新入り、あなたの知り合い?」
僕達に話しかける時とは打って変わって、鋭い口調で問うヴィリーさん。
新入りさんは、ひょい、と肩を竦めて笑う。
「いっえぇー? 知り合いじゃないっすよ、こんなのとぉ」
くはっ、と笑うその声が、まるで棘か何かのように心に突き刺さる。
彼はヘラヘラ笑いながら僕を指差し、説明しだした。
「俺、昨日まで集会所で野良パーティー組んでたんで、知ってるんすよ。彼、有名人なんすよ。何をトチ狂ったのか、いまどき支援術式メインのエンハンサーらしくて? あーそりゃもちろん、どこもパーティーメンバーとして拾ってくれないっしょ? だからいつも一人ぼっちなんすよ。うはっ。んで、俺らの間でついたあだ名が『ぼっちハンサー』ってわけっす」
二の句が継げない、というのはこういう時に使うのだろう。
言葉のナイフによって、僕の心は一瞬にしてズタボロにされてしまった。けれども、嵐はまだ去ろうとはしない。
「笑っちゃうんすよねー、彼。エンハンサーってだけで敬遠されてるっつーのに、それでも必死こいて色んな勧誘に顔出しに行くんすよ。んで、いっつも断られてて。うへっ。いい加減気付けよっつー話でぇ」
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