なろうダラ読み感想記

主に『小説家になろう』で面白かったWEB小説の感想をぼちぼち。コメディ・アクション寄り。俺TUEEEとかノリがいい物多めです。良い厨ニ大歓迎。

異聞・妖刀百物語 - 月に叢雲花に蟲 -

[現代ファンタジー][和風][伝奇][幼馴染][隻眼][残酷描写][ラブコメ][キスしないと死ぬ]

作者:痴れ者ラボ

高校生になる臼木陣太郎には才色兼備の幼馴染みがいた。 神社の一人娘で巫女でもある彼女とは、随分前から疎遠になりこれからもそうである筈だった。 しかしある日、自宅に尋ねて来た高嶺の花であるはずの幼馴染みを助けた事から、陣太郎は古より続く刀鬼の祟りと神威に対峙する事になってしまう。 ※本作は異聞・妖刀百物語としてArcadiaに投稿してあるものの改訂版です。

主人公    ★★★★☆
サブキャラ  ★★★★☆
神 話    ★★★★★
物 語    ★★★★☆
文章構成   ★★★★☆

 

鬼の祟りにあった主人公・臼木陣太郎が神話に纏わる怪異と戦う現代和風ファンタジー。

抜刀すれば何かを食らわせない限り、自分自身に喰らいつく最強の刀鬼目一オニノマヒトツ蜈蚣ムカデや、ムカデよけに女の唾液が必要など往年のいい味があります。各話も古事記の神話をモチーフにしっかりと構成されていて、一話完結なので読みやすいです。

隻眼片足の白髪少女、おとねばあちゃんがいいキャラしてます。

 

鬼婆
“何故陣太郎がこれ程までに少女に圧倒されているかと言えば、それは少女が“神”であるからである。
 勿論、それが本当かどうかは陣太郎にはわからない。
 事前に手渡されていた天之麻悟郎のメモには、彼女は千早神社の氏神の化身と考えられ、幼い頃より生き神として祭られてきたのだと説明が書かれていた。
 実際の所は事故か何かであるのか、それとも先天性であるのか、とにかく彼女は何らかの理由で片目片足をなってしまい千早神社で神の役をしているだけなのだろう、と陣太郎は見ていたのだったが。
 それでもやはり、彼女の尋常ならざる雰囲気は陣太郎にもしやと思わせるには十分なものであった。
 少女は着崩した着物の奥から一本、にゅっと白い足で胡座をかき、片目を瞑らせたまま手を差し伸べ続けて居る。
 短く切り揃えられた白い髪と開いた大きな右の瞳、そして凛々しく整った顔立ちが更に神の美貌に凄味を持たせていた。

「どうした?」
「あ、いえ。ちょっと、こういった雰囲気に弱くて」
「なっさけな。お前だって“神”の眷属みたいなもんじゃねえか」
「え?」
「しかも取り憑いてんのが天之麻比止都禰命あめのまひとつねのみこと 縁の品ときたもんだ。丁寧に左目まで潰しちゃってまあ……。お前の片足をもいだら、さぞ強い力を宿した神になろうな」
「そんな……はは、冗談はやめてください。それに、なんで片目片足になったらその……“神”になるんですか?」

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